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大事な仲間である藤原知之君のオリジナルムービーである。

 

しかし見始めてすぐ仲間であることや自主映画であることを忘れてしまう。

あまりに丁寧に、人間の「ダークな意志」や「立っていることの脆さ」の感情を捉えているからだ。その感情達は「解放」を求めているが「予定調和的提示」はされない。きっと本能的に藤原視線はたった一つのアングルで人間を撮ることができないことを知っている。それは同時に私や彼を含む「日常としての映画作り」への静かで強烈なアンチテーゼであり、解体作業だ。

 結果として「未完」の美しい作品ができ上がる。登場人物の誰にも例外なく等距離で感情移入できる。なぜならどの人物にも「私」が埋め込まれているからだろう。それが『映画』なのだ。それこそが。

 

美しい斜光に「映画を見た幸福」がやってきた。   

映画監督・堤 幸彦

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